筋肉が活動するためには十分な酸素が必要ですが、必要な量の酸素が供給されず、筋肉の酸欠状態がおこると、ブドウ糖が不完全燃焼を起こして、燃えかすとして乳酸などの老廃物がたまります。これが筋肉中に蓄積されることで、痛みを生じるようになります。これが、いわゆる筋肉痛の原理ですが、当然、首や肩にも様々な筋肉が存在していて、長時間のデスクワークなどでも頭を支えるために筋肉が活動し続けています。長時間の緊張状態によって血行が悪くなり、首や肩の筋肉に十分な酸素が供給されなくなり、痛みを感じるようになった状態。これを肩こりといいます。「重い」「だるい」「はる」など、表現は様々なようです。
※乳酸の蓄積が疲労の原因との見解には医学的な根拠はあまりないようで、乳酸が生成される過程で生じる水素イオンによってpHが酸性に傾くことが疲労の原因とも言われています。あるいは、乳酸はむしろ筋機能を高めるエネルギー源であって、乳酸がたまって疲れが残るなどありえない、という説もあるようです。
ただし、長時間のデスクワークをしていても肩こりにならない人もいれば、デスクワークでない人でも肩こりになる人もいます。なぜでしょう。それは身体が常にバランスを取っているからです。例えば、左側の骨盤に歪みがあると身体は左に傾きますので、バランスを取ろうとして右側の肩の筋肉が収縮を起こし緊張状態となります。これによって肩こりとなる場合もありますから、やはり症状のある方は、きちんとした診断を受けられるのがよいかと思います。
また、肩こりによって頭痛が生じる場合があります。これは筋緊張性頭痛と言われるもので、長時間におよぶ筋肉の緊張状態(ストレスがかかった状態)によって、脳周辺の血管が拡張するなどして神経を刺激し痛みが発症することなどが原因と考えられています。脈に呼応して「ズキンズキン」とした激しい痛みの場合は、肩こりによる偏頭痛(片頭痛)と考えられます。
仕事中は、出来るだけ休憩の回数を増やしたり、首や肩・腕をまわしたり、背伸びしたり、身体をひねったり、少しでも身体を動かすこと(体操やストレッチ)が、肩こりの予防につながりますが、長時間のデスクワークでは正しい姿勢を維持することで筋肉の緊張状態を最低限にとどめることができますので、机やモニターの高さなどを適切なものにする必要があります。また、原因が骨格などにある場合は、きちんとした治療が必要になります。
また、眼精疲労が肩こりの原因になることもありますので、目が疲れてきましたら休めることが大事。
・目がチカチカする
・目がかすむ
・目の奥が痛む
こんな症状が出ましたら、眼精疲労の可能性がありますのでご注意ください。